マンション駐車場の評価(相続税申告):不動産鑑定士嶋内雅人のブログ|新着情報

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マンション駐車場の評価(相続税申告):不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

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│1│ 今回の評価実例:マンション駐車場の評価(相続税申告)
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対象不動産はマンションの地下の大規模の駐車場とマンションの一部の店舗で、神奈川県のある鉄道駅に近い地域にあります。しかし駐車場の需要は乏しく、空きが目立ちます。

依頼目的は相続税申告です。

なぜこのような大規模な駐車場がつくられたのか。依頼人と顧問税理士のお話や登記の状況から判断すると、マンションディベロッパーと等価交換されたもののようです。

通常の等価交換ならば、ディベロッパーが建築費を負担してマンションを建築して、土地価格と建築費の割合によって取得割合を決定し、土地所有者とディベロッパーとがそれぞれでマンションの専有部分を取得します。

本件対象不動産は、以下のようなシナリオで建築されたものと思います。

悪質なディベロッパーと悪質なゼネコンが結託して土地所有者をそそのかし、需要がないのに駐車場付きのマンションを建築します。ゼネコンは駐車場の分だけ高額になった建築代金を手にします。

次に、土地所有者に土地価格に応じた駐車場を取得させます。建築費総額を面積割合で配分すれば、マンションの居室も駐車場も単価が同じになります。

ディベロッパーは取得した居室を売却し、建築・売却計画は無事終了。土地所有者には使い道のない大規模な駐車場が残されます。

財産評価基本通達による相続税評価は、収益性は加味しません。土地の持分割合と建物の専有面積が同じならば、用途や収益性は異なっても評価額は同じです。

私の評価書を使用した相続税申告は無事終了しましたが、依頼人は相続税を支払うために、その駐車場を売却することになりました。私の評価額とほぼ同額です。通達による相続税評価額を大きく下回りました。

申告が無事終了したのはいいのですが、ディベロッパーとゼネコンのやり口には強い憤りを覚えました。


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│2│ 不動産鑑定評価の知識:不動産鑑定評価基準Ⅶ
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2002年に全部改正された不動産鑑定評価基準は、その後3回にわたって一部改正されています。それらについてご説明します。

2014年改正の不動産鑑定評価基準の概要は次のとおりです。

不動産市場が国際化し、またストック重視社会への転換や、証券化対象不動産が拡大するという背景から、多様な評価のニーズに対応していく観点から以下の点を改正しました。

①不動産市場の国際化への対応として、スコープ・オブ・ワークの概念を導入しました。さらに価格概念に関する国際評価基準(IVS)と整合性させるようにしました。

スコープ・オブ・ワークとは、合理的な理由のもとで依頼者と合意し、評価の条件や調査範囲や手法の選択を案件ごとに決定することをいいます。

対象確定条件に、宅地造成や建物の建築に係る工事完了前であっても、一定の要件を満たす場合には鑑定評価を可能とする「未竣工建物等鑑定評価」を導入したのがその一例です。

②ストック型社会の進展への対応として、建物に係る価格形成要因を充実させ、さらに原価法に係る規定を見直しました。

③証券化対象不動産の多様化への対応として、事業用不動産に係る規定を充実させました。

④定期借地権についての規定を充実させ、継続賃料の鑑定評価に係る規定を見直しました。

また、不動産鑑定評価基準を一部したこと改正に伴い、「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」と「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」及び「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン運用上の留意事項」の一部も改正しました。


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│3│ 編集後記
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無名人のひとりごと(永六輔)より

「節電はいいのよ。
 でも、節電て、東京電力に協力している気分になるのがねェ、一寸ねェ」

これは、おそらく東日本大震災直後のことでしょう。

さて、メルトダウンした東電福島第一原発の一次冷却水が混じった汚染水が、太平洋に放出されはじめました。

私のような64歳のオッサンが福島の海でとれた海産物を食べて、たとえ影響が出たとしても、そのころにはきっとこの世にいないでしょう。

福島の漁師さんを助けるために海産物を食べようとは思いますが、東京電力や政府に協力している気分になるのがねェ、一寸ねェ。