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広島土砂災害:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12077718466.html

今回は、地盤と安全な土地の話です。


2014年8月20日、広島市北部の安佐北区や安佐南区で大規模な土砂災害が発生しました。74名もの方がお亡くなりになり、重軽傷を負った方は44名もいらっしゃいます。

この土砂災害では、当地の地盤を形成する「マサ土」がその原因となったと言われました。マサ土とは、花崗岩が風化することによってできた砂です。

花崗岩は、それを構成する結晶の粒子が大きいのが特徴です。花崗岩は御影石とも呼ばれ、緻密で堅いため鳥居や石垣などに用いられる、私たちになじみの深い鉱石です。

私も、幼少のころ住んでいた公団住宅の敷地の斜面の擁壁に使われていたのを覚えています。きらきら光り、様々な色が混じり、きれいな石だなと思った記憶があります。

この花崗岩は、石英と長石など様々な鉱物で構成されています。なるほど様々な色が混じっているはずです。これらの鉱物は結晶の熱膨張率がそれぞれ異なるため、温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まって風化しやすい性質を持っています。なお、熱膨張率が同程度のものを組み合わせた建築工法が、鉄筋コンクリートです。

さらに風化が進むと、粗い砂状の粒子になりマサ土になります。マサ土は粒子が大きく水を含みにくいため、折からの大雨による大量の水を保水することができず、崩れ落ちたわけです。

マサ土と聞いてピンときました。広島周辺には銘酒を醸す酒蔵があります。三原の「酔心」・西条の「賀茂鶴」が代表的です。銘酒には良い軟水が不可欠です。その良い軟水を提供するのが、花崗岩の地盤です。マサ土は、この花崗岩の地盤があったために形成されました。軟水を供給する中国山地は、花崗岩でできているわけます。

サントリーは、「南アルプス天然水」というミネラルウォーターを販売しています。採水地は、その名の通り南アルプスです。南アルプスもまた、名水の産と言ってよいでしょう。

さて、話は大幅に変わって、リニア新幹線です。この事業は、JR東海の経営を傾けかねない膨大な資金をもって行われます。そして、JR東海はこの南アルプスの地下にトンネルを掘ってリニア新幹線を通そうとしています。いろいろな反対意見がありますが、名水の産地が脅かされているのは間違いなさそうです。