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航空法:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12077735819.html

今回は、裁判と不動産価格の話です。


◎事件の概要
大阪府の八尾空港の近くの土地を買う際、買主は地上2~4mの高さの工場建物が建築できるという説明を受けていました。

仲介業者も、売主から同様の説明のほかに、対象地の隣にある倉庫程度の建物ならば建築できるとの説明を受けていました。

買主は、貸工場を建築するためにこの土地を買う契約を結びました。売買代金は1億5,750万円で、契約日に手付金として1,575万円を支払いました。

ところが、契約後に航空法の制限により、地上高さ26cm~2m39cmの範囲しか建築ができないことがわかいました。

工場が建築できないため、買主は売主に損害賠償を請求しました。売主は、買主も重大な過失があるとして争いになりました。
(大阪高判平1.9.22)


◎判決
買主の主張を認めて、手付金1,575万円の返還が命じられました。


◎解説
航空法の制限は一般になじみがないため、見落としがちです。本判決の制限では、平家の簡易建築物が建てられる程度でしょう。工場に必要な機械装置を設置するのは不可能です。なお、この事件の売主と買主はともに不動産業者でした。

契約の内容として、高さ2m~4mの建物が建てられることが動機となっています。これが不可能だったため、民法95条の要素の錯誤に該当することとなりました。よって、売買契約は無効となり、手付金の返還となりました。

しかし、買主も不動産業者であるため重大な錯誤があったのではないかという点については、裁判所は「本件売買契約締結の当日も、買主が売主に対して、改めて建築できる建物の高さを確認した」ことと、「本件土地付近には、航空法の制限を受けながらも、買主が本件土地上に建築しようと考えていた程度の建物が現実に建てられていた」として、特に関係官庁等に確かめなくとも、買主の重大な錯誤はないと判示しました。


◎不動産鑑定の見地から
注意すべきは、制限を受ける前に建築された建物があることです。法律は遡及適用はされません。ですから、今回の航空法の制限が適用される前の建築物は、そのまま利用することができます。

ただし、建替えの際は航空法の制限を受けます。そのような土地を評価する場合は、建物の経済的耐用年数の期間だけ収益が得られるものとし、その間の純収益の現在価値の総和と、建築制限の加わる土地の復帰価格の現在価値とを加算して評価することとなります。


八尾空港における航空王の制限の内容のURLを貼り付けておきます。よろしければ、ご参考になさってください。

http://ocab.mlit.go.jp/news/limit/pdf/08_07_08_02_yao.pdf