違反建築物と電力供給:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ|新着情報

NEWS

TOP > 新着情報 > 違反建築物と電力供給:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

違反建築物と電力供給:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12188344872.html

今回は、裁判と不動産価格の話です。

◎事件の概要
建築主は、4階建8戸の分譲マンションを建築しました。しかし、そのマンションは建ぺい率・容積率・高さ制限に違反していました。

そこで東京都は違反建築物に代執行し、かつ東京電力に電力の供給を保留するように要請しました。東京電力はその要請に応えて、電力を供給しませんでした。

建築主は、電力供給の申込を留保した東京電力と東京都に対して損害賠償を求めました。
(東京地判57.10.4)

◎判決
違法建築物への代執行には違法性はない、としました。電力供給の申込を留保して、これを供給しないことにも違法性はなく、損害賠償の義務はないとしました。

◎解説
この分譲マンションは、1974(昭和49)年5月に建築されました。第1種住居専用地域(現在の第1種低層住居専用地域)にあり、第1種高度地区に指定されている地域です。建築当時は、高さ10m以下で3階建ての建物までしか建てられませんでした。

この事件の建物は高さが10m60㎝あり、高さ制限を60㎝超えていました。すなわち、違反建築物です。

本題とは関係ありませんが、この高さで4階建てとは、かなり天井が低く圧迫感のある部屋でしょう。

さて、この建物について詳しい内容は不明ですが、代執行が行われました。この代執行が行われた建物への電力供給の申込に対しては、東京電力は通商産業省(当時)より通達に従い、電力を供給しませんでした。

この方法は、昭和40年代に大阪地区で行われていた違反建築物への対抗手段のひとつでもありました。

裁判所は、「東京都の要請に基づき行ったものであるから、電気事業法18条1項の『正当の理由』のある場合に該当し、違法性はない」と、判示しました。

◎不動産鑑定の見地から
不動産鑑定評価基準には、価格に関する11の原則を定めています。そのうち最も重要なのが、最有効使用の原則です。

最有効使用とは、「現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくもの」とされています。

違反建築物は、合法的なものではありません。鑑定評価にあたっては、違反建築物に該当しないことを、まず調査確認しなければなりません。