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不同沈下:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12264613859.html

今回は、裁判と不動産価格の話です。

◎事件の概要
Xは、1,100万円で建売住宅を購入しました。

ところがその6ヶ月後に、ドア等の開閉ができなくなりました。また、トイレに亀裂が入り、柱と敷居とに隙間ができました。その都度補修しましたが、台所の床にも傾きが生じました。

Xは、これを販売した不動産業者に対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求しました。
(神戸地判昭61.9.3)

◎判決
建物を取り壊し、地盤改良工事と新築建築費として1,018万5,000円の支払いを不動産業者に対して命じました。

◎解説
この建物の敷地は、河岸に接続する傾斜した原野でした。この建売業者が買取る直前に、前の所有者が盛土をして平坦地としたものでした。

この建売住宅は、当初の3カ月間は異常がありませんでした。しかし、裏の庭に30cm程度の陥没が数か所発生していました。これがトラブルの始まりでした。

8カ月後には、玄関のドア・内部のドア及び建具の開閉がうまくできなくなりました。さらに約1年後には、風呂場の浴槽とタイル内壁との間に亀裂が生じました。

また、トイレ内にも同様の亀裂が生じました。さらに2年が経過すると、台所の床が傾き、建物内部の各所に亀裂が入り、それが大きくなっていきました。

これらの不具合は、まず盛土部の不同沈下が原因でした。この土地は砂質が多く、その転圧が不十分であったため、雨水が盛土に入り、建物の重さによって土壌が簡単に収縮して沈下がおこったのです。

原因はそれだけではありませんでした。この沈下によって浄化槽から汚水が漏れて、さらに土壌の収縮・沈下がおこったのです。

建物の基礎は浅く、転圧の不完全な盛土の上に築造されているため、裁判所は「建物は取り壊した上、地盤改良して新規に新たな材料で建て替えるしか相当な方法はない」と判示しました。

そして「地盤改良工事費および新規建築費」「建て替え期間中の代替え期間費用等」の合計1,018万5,000円の支払いを命じました。

◎不動産鑑定の見地から
1,018万5,000円は、1,100万円の新築建売住宅の売買代金のほぼ全額に相当します。すなわち、この建売住宅は価値がゼロに等しかったことになります。

老朽化して使用できない建物が土地上にある場合、土地の評価額からその建物の取り壊し費用を引いた金額を鑑定評価額とすることがあります。本件と同様の考え方です。


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

3月の初めに、友人たちと東京都世田谷区の等々力渓谷を散策しました。

渓谷と言っても、やはりそこは東京都。深山幽谷ではありません。川底はコンクリートで、遊歩道も整備されています。

左右の崖からは、ところどころ水が湧いています。なるほど、確かに渓谷です。

稲荷神を祀ってあるある社のそばに、滝行のできる場所がありました。湧水を頭から浴びるわけです。

ある人が言っていました。等々力渓谷の滝行は、湧水のため温かくて修行にならない、と。

うーん、寒い季節に裸で立っているだけでも、かなりの修行になりそうだけどなあ。