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限定価格:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12275736003.html

今回は、土地の増減価要因の話です。

不動産鑑定評価によって求める価格は、通常は正常価格です。

正常価格とは、市場参加者が不動産市場に自由に出入りでき、不動産について完全な情報を持ち、不動産についての自由競争市場が機能している場合における市場価格のことです。

いわば、現実にはない理想の市場において成立するであろう価格です。

また、不動産には正常価格以外の価格もあります。限定価格がその一つです。

限定価格とは、正常価格が成立する自由競争市場のもとで成立するであろう価格とは乖離しますが、当事者間には経済合理性がある価格です。不動産鑑定評価基準は、限定価格を求める場合として、次のように例示しています。

(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合

それぞれ説明します。

(1)
底地の所有者は自分で土地を使用することができず、地代の徴収権があるのみです。ですから、底地の価格はかなり低い水準になり、第三者はその低い価格で買うことになります。

しかし、借地権者が底地を買うと、その借地権者であった人はその土地の完全所有権を有することになります。その土地を自由に使うことがで きるので、底地を高額で買っても割に合うことになります。

(2)
例えば接道義務を満たしていない土地があるとします。そのままでは、その土地に建物を建てることができませんが、隣の土地を1㎡だけ買えば接道義務を満たすとします。

その土地に建物を建てることができるようになるのですから、その隣の土地を高く買っても全然損はしません。

(3)
形のよい土地があるとします。その土地の一部をどうしても欲しい人が現れました。しかし、その一部を売ってしまうとその土地は形が悪くなり、単価が下がります。

この場合には、単価が下がった分だけその部分を高く売らなければ経済合理性に反します。他方、買い手はどうしてもその一部が欲しいのですから、高く買ったとしても満足します。

このように、限定価格は正常価格よりも高くなります。


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


今日は私の誕生日です。馬齢を重ね、58歳になってしまいました。この歳になると全然嬉しくなく、よくもまあここまで生き延びたものだと思う次第です。

作曲家の没年齢を思い起こしました。

30歳台で人生を走り抜けた、シューベルトやモーツァルト、ショパンの年齢はとうに上回りました。

55歳で亡くなったドビュッシー、56歳のベートーヴェンの没年齢を追い越し、60歳で没したスメタナは間近です。

私の趣味であるクラッシック・ギターの作曲家はどうでしょう。

アランブラの思い出で有名なタレガの享年は57歳、没後三十年余り過ぎたころに再評価されたバリオスは59歳で他界しました。

偉大な彼らと自分を比較するのは大間違いなのですが、自分の人生を振り返ると空しいですね。

とはいっても、人生80年時代。時間はまだあります。

まずは、久しぶりにギターを取り出し、65歳でこの世を去った大バッハの作品を弾いてみましょうか。