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崩壊した擁壁:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12303932013.html

九州地方に集中豪雨がありました。被災された方々にお見舞いを申し上げます。

さて、集中豪雨によって宅地の擁壁が崩れることがあります。これについての判決を取り上げます。

◎事件の概要
もともとは傾斜地であった土地に高さ3.1mのコンクリートの擁壁が築造され、宅地として分譲されました。

その年の秋の台風によって、その擁壁が45mの幅にわたって崩壊したため、建物が損傷するに至りました。

買主は売主の責任を追及しましたが、売主は「この土地は検査を経たものであり、買主が建築した建物の壁に崩壊の原因がある」として、争いになったものです。
(東京地判昭39.10.19)



◎判決
売主の瑕疵担保責任が認められ、買主が支出した303万6,150円の原状回復費用の支払いが命じられました。

◎解説

この擁壁には鉄筋がなく、強度にやや問題がありました。また、土地の一部に、古い防空壕をレンガ等で埋めたものがあったために、空間があり水に弱い性質でした。

5日間降り続いた雨のために、570.90立法メートルの土砂が流出するに至りました。

このため、買主は①土砂流出の現場整理費用等84万9,151円②土止工事費用21万7,600円③現状回復のための修理費用196万9,400円を請求しました。

裁判所は、「条例に外見上適合する壁の構造であっても、有効な排水溝を作ることなく、鉄筋等による補強もしないで、コンクリート壁を築造したことは完全な宅地の造成とはいえない」としました。そして「宅地として、土地に隠れた瑕疵がある」と判断しました。

売主に対して、買主が不法行為と不完全履行についての責任を追及しましたが、これは認められませんでした。

◎不動産鑑定の見地から
本件の土砂崩れの土量はそれほどの大量のものとは思われません。おそらく防空壕が小規模なものだったのでしょう。

しかし、大規模な防空壕がある場合には、この金額ではすまないかもしれません。原状回復費が得られたとしても、「あの地域の土地の地下には防空壕があっていつ崩れるかわからない」という悪い評判が定着すれば、市場性による減価は避けられないからです。

下記のURLは、危険な地下壕についての新聞記事です。

http://www.asahi.com/eco/TKY201011260558.html


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


関東地方では、梅雨が明けました。夏本番です。

私たち不動産鑑定士にとっては、嫌な季節です。不動産鑑定評価にあたっては、実地調査に行かなければなりません。不動産は屋外にありますから、炎天下に外出することになります。

評価対象不動産が街中にあるのならまだしも、郊外の住宅地の場合は特につらいですね。

街中ならば喫茶店で一服することができますが、郊外にはそのようなものはありません。また、建物の高さも低く日影もありません。

さらに困るのが役所や法務局です。両方ともわざわざ交通の便のいいところに設置する必要はありませんから、不便なところにあります。交通機関があればいいですが、そうでない場合は歩くことになります。

着いたころには、ズボンまで汗でびっしょり。

役所では用途地域等を調査します。簡単な調査ならば立ったままで担当者の話をききますが、込み入った話ですと椅子に座ってやりとりします。

調査が終わり立ち上がると、椅子の上面が汗で濡れて光っているではありませんか。まるで漏らしたみたいです。

どうしようかと逡巡しますが、やむを得ず椅子をカウンターの下に押し込んで、そのまま立ち去ります。まあ、そのうち乾くでしょう。ははは……。