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準角地・二方路地等:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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◆―――――――――――― 今回のテーマ ――――――――――――――◆
角地は、街路の一面が接する土地(中間画地)に比べて住宅地・商業地・工業
地のいずれの場合も価格が上昇します。今回は、それ以外の土地について考察
してみます。
1.準角地
L字状に曲がった街路の内側にある土地を、準角地といいます。角地ほどでは
ないですが、中間画地に比べて準角地も価値が上昇します。
住宅地では快適性、商業地では繁華性、工業地では原材料・製品の搬出入の利
便性が優ります。ただし、街路の連続性や通行量の店では、通常の角地よりも
条件がやや劣ります。
このため、角地と準角地との格差は、通行量が特に価格形成に重要な影響を及
ぼす商業地について相対的に大きいと考えられます。
もちろん、住宅地や工業地でも若干の格差は生じますが、商業地に比べれば効
用の点での格差は少ないと考えられます。
なお、角地と同様に建ぺい率が10%増加します。
2.二方路地
正面と背面の二方の道路に接している土地を二方路地と呼びます。このような
土地も角地とは区別されます。街区の角ではなく、背面に道路が接しているか
らです。
二方路地も、中間画地に比べて効用が優れることは明らかです。ただし、背面
に接する街路の幅員が著しく狭かったり、単なる通路にすぎない場合は別です。
二方路地が効用の面で優れる理由は、角地・準角地の理由と同様です。ただし、
増価の程度は角地よりも低くなります。
例を挙げれば次のとおりです。住宅地では眺望の点で角地ほどのメリットはあ
りません。商業地では、通行量や繁華性は角地ほどではありません。工業地の
場合も、搬出入は角地の方が優ります。
二方路地も建ぺい率が10%増加します。
3.三方路地・四方路地
三方が街路に接している土地を三方路地といい、四方が街路に囲まれた土地を
四方路地といいます。
角地に比べると、三方路地は街路にさらに一面多く接することから、その分だ
け効用が増加します。四方路地はさらに増加します。
ただし、このような傾向は商業地では顕著ですが、住宅地・工業地はそれほど
ではありません。
住宅地については、騒音やプライバシーの保護の点ではマイナスに働くからで
す。工業地については、敷地内の移動はもっぱら車輛によるため、それほどの
効用増はないからです。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
故事成語のひとつに「朝三暮四」があります。
サルにトチの実を与えるのに、朝3つ夕に4つと決めたところ、少ないとサル
が抗議しました。そこで、朝を4つ夕3つとしたら、サルが喜んだという話が
その由来です。
そこから、「目前の違いにばかりこだわって、同じ結果となるのに気がつかな
いこと」「口先でうまく人をだますこと」を意味します。
いや、不動産鑑定士である私からすると、これは間違っていますね。
不動産鑑定の手法の一つに収益還元法があります。将来の収益を、割引率を用
いて現在の収益に割り戻すのです。
手許にある1万円と1年後に受け取れる1万円とは、同じ価値ではありません。
1年後なら利子が発生している可能性があります。また、その1万円を確実に
手にすることができるわけではありません。
1年後の1万円の価値を現在の価値にするには、割り引く必要があります。で
すから、1万円よりも低くなります。
そうすると、朝3つ夕4つと、朝4つと夕3つとでは、先に確実に4つを受け
取るほうが価値が高いことになります。
サルが利口ですね。