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階層別・位置別効用比率によるマンション評価:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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│1│ 今回の評価実例:階層別・位置別効用比率によるマンション評価
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本件の評価対象不動産は、マンションの一室です。相続にあたって、あらかじ
め価値を知っておきたいというのが依頼者の方の意向です。
さて、価格を求める不動産鑑定評価においては、三つの手法を適用します。
その不動産をつくる費用に着目した原価法、その不動産の取引価格に着目した
取引事例比較法、その不動産が生み出す収益に着目した収益還元法です。
マンションの一室の専有部分の評価も同様で、これらの手法を適用します。
マンションの評価に特徴的なのが、原価法を適用する際に計算する階層別・位
置別効用比率です。
土地建物一体の積算価格(原価法を適用して求める価格)を求め、これに階層
別・位置別効用比率を掛けて試算価格を求めます。
階層別効用比とは、それぞれの階の専有部分が相対的にどのような価値尺度な
のかという考え方です。例えば、1階が100だとすると2階は101という
ように判断します。
位置別効用比とは、同じ階の専有部分が相対的にどのような価値尺度なのかと
いう考え方です。片方のみに窓がある一室を100だとすると角部屋は105
というように判断します。
これらを、マンションの全ての専有部分のそれぞれの面積に掛けます。求めら
れた数字を階層別・位置別効用積数といいます。それぞれの専有部分の相対的
な価値を求めることになります。
さらに、全ての専有部分の階層別・位置別効用積数を合計して、この合計した
数字で評価対象の専有部分の階層別・位置別効用積数を割ります。これを階層
別・位置別効用比率といいます。
最後に、土地建物一体の価格に評価対象の専有部分の階層別・位置別効用比率
を掛けて、対象不動産の積算価格を試算します。
ここまで書いてきて、あらためてややこしいなと感じました。エクセルを使っ
てこれらの計算を行いますが、エクセルがない時代はどうしていたのでしょう
か。
電卓と鉛筆なのでしょうね。その時代に不動産鑑定士をやっていなくてよかっ
たと感じています。
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│2│ 不動産鑑定評価の知識:正常賃料
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不動産鑑定評価では、価格または賃料を求めます。価格と賃料とは元本と果実
の関係にあります。
賃料の種類には、「正常賃料」「限定賃料」「継続賃料」があります。賃料を
求める鑑定評価にあたっては一般的に「正常賃料」又は「継続賃料」を求めま
す。
今回は、不動産鑑定評価基準を引用しながら正常賃料をご説明します。
正常賃料とは、「正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃
借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益すること
をいいます)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料
(新規賃料)」のことをいいます。
正常価格と同一の市場概念とは、「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えら
れる条件を満たす市場」のことです。全ての市場参加者が合理的な判断をする
ことが想定されています。
もちろん、実際にはこのような市場は存在しません。しかし、そのような市場
があるとしたら、そこで成立する賃料です。
新規賃料の鑑定評価においては、原則として、この市場概念に基づく正常賃料
を求めることとなります。
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│3│ 編集後記
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伝言(永六輔)より
「国民の代表として、議員が質問しますわな。
それがお互いに奇妙な敬語を使うでしょう。
〈ご質問させていただきます〉
〈お答えをたまわりたい〉
〈お訴えをさせていただきます〉
国民主権でしょう。
殿様に対する家来のような態度はとらないでほしいよ」
そのとおりですね。質問の相手は政府です。政府に対して国民の代表が、その
ような口調で質問するとは。
さらに言うならば、国民を自分の家来だと思っている政治家がたくさんいます
ね。