TOP
> 新着情報
> 観劇に無料招待された後、安い土地を高値で買わされた(原野商法):不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
観劇に無料招待された後、安い土地を高値で買わされた(原野商法):不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
嶋内不動産鑑定 初回相談無料 お気軽にご連絡ください
044-400-7720 info@rea-shimauchi.com
◆―――――――――――― 今回のテーマ ――――――――――――――◆
うまい話には裏があるものです。不動産には魑魅魍魎が跋扈します。
◎事件の概要
Xに不動産会社から「抽選に当たった」との電話がありました。Xは、その不
動産会社の招待により無料で観劇をしたところ、その帰りに執拗に北海道の土
地を買うことを勧められました。
その結果、極めて安く価値の低い土地を不当な高値で買うことになってしまい
ました。
Xは、この会社の営業部長と、契約にあたり重要事項の説明をした宅地建物取
引主任者に対して損害賠償の請求を求めて訴訟となりました。
(東京地判平2.9.25)
◎判決
不法行為責任を認めて,被告に損害賠償を命じました。
◎解説
1㎡あたり100円~300円程度の土地を1万円程度の価格で売却する詐欺
的土地売買を、「原野商法」といいます。この事件の経過は、原野商法の手口
の1つです。
宅地建物取引業法2条は、宅地の定義について,①建物の敷地、②道路、公園、
河川、水路、広場以外の土地で,都市計画法8条の都市計画区域内の土地とし
ています。
ですから、たとえ急斜面の崖地であっても,③その目的が住宅、別荘地として
建築物の敷地に供する目的で取引されれば宅地ということになります。
「建築物を建築するという目的で取引する」のであれば,これが宅地建物取引
業法2条の宅地ですので、事実上建築する目的で取引すればたとえ建築できな
い原野でも「宅地建物取引業法2条でいう宅地」になります。
原野ではないのか、山林ではないのかと不安になって「その土地は宅地ですか」
と尋ねます。
すると、その業者は「ご安心ください。宅地建物取引業法2条の宅地です」と
堂々と答えます。そして「そうですか」と安心してしまいます。これが不幸の
始まりです。
裁判所は「会社ぐるみで組織的に行った極めて悪質で,強度の違法性を帯びた
行為」としました。
不動産取引にあたり、良心をもって、一般の消費者に公正な助言を与えるべき
専門家である専任の宅地建物取引主任者に対しては「原野商法の重要な役割を
分担した」としました。また,この会社の営業部長およびこの取引主任者のい
ずれに対しても不法行為責任を認定しました。
◎不動産鑑定の見地から
宅地の定義はいろいろあります。上記の宅地建物取引業法の他にも、宅地造成
及び特定盛土等規制法・不動産登記法・地方税法(固定資産税の規定)等です。
宅地と言われたときに、どの法律の規定に基づくものなのか慎重に確認すべき
でしょう。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
引っ越しはしましたが、全然片付きません。まだ段ボール箱が積まれたままで
す。
ただ、同居する母が片付けを手伝ってくれるので、大変助かっています。
母は89歳。数独を毎日解き、ジムに通っている母に感謝です。