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災害地名は漢字ではなく音:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

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◆―――――――――――― 今回のテーマ ――――――――――――――◆


地名で災害の危険がわかることがよくあります。

しかし、一般に知られている地名の由来に間違いが多いのが事実です。

こうした間違いの多くは、地名の字面をそのまま受けとめたり、語呂合わせや
通俗的な思い込みにとらわれたりすることによリ起こり、伝説や民話が絡むケ
ースなどは特に顕著です。

観光地では、「かつて源頼朝がここで○○をしたことに由来する地名」「弘法
大師が諸国行脚の際にここで○○を唱えたことからつけられた地名」など、観
光の振興に都合がいいように誤って解釈されていることが珍しくありません。

しかし、普通に考えても、「誰々がこの場所で○○した」というような「行動」
で地名が命名されることはなかなかないでしょう。このような説明は疑ってか
かったほうがよさそうです。

ではどうしてこのようなことが起きるのでしょうか。最も大きいのは「字面の
罠」でしょう。

古くから口承された地名は、そもそも文字を持ちません。なぜなら、大陸から
漢字が伝わる以前から地名は存在するからです。

また、文字が使われるようになった以降も、貴族を除けば識字率は低く、地名
が漢字で伝えられずに口承されることはいわば当然のなりゆきでした。

しかし口承されてきた地名も後にどこかで漢字が振られることになり、命名者
の意図と異なる漢字があてられることになります。

特に平安時代に延期式といわれる格式が導入された際には、「凡諸国部内郡里
等名 並用二字 必取嘉名」という方針が定められました。これに基づいて全
国の地名が変更され、この際に地名に様々な当て字が使用されるようになりま
した。

それまでバラバラだった地名を、延喜式によって中国風の漢字二字の好字に改
訂し、固定化させようとしたのです。当時の朝廷は、中央政権化により地方を
支配することを徹底しました。口承されてきた地名は大幅に変更されました。

では、口承されてきた地名の意味を考えるには、どうしたらいいでしょうか。
これらの地名の漢字は当て字ですから、漢字ではなく音を考えることになりま
す。音を聞き古語で解釈するのです。災害地名の多くはこのようにして判断さ
れます。


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


歳をとったせいなのかどうかわかりませんが、気になる言葉遣いが増えてきま
した。

いろいろありますが、特に気になるのが「いただく」です。

「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。目上の人から何かをもらうときに、
「いただく」という表現を使います。

ところが、ここのところ「もらう」場面だけではなく、いろいろな場面で「い
ただく」やその活用形を耳にしたり目にしたりします。「いただく」を常体の
「もらう」に置き換えると、おかしな表現であることがわかります。

電車に乗っていると、「次の駅では○○線にお乗り換えいただけます」とのア
ナウンスが流れます。いや、これは「お乗り換えになります」でしょう。「お
乗り換えしてもらえます」では、意味がわかりません。

食べ物の袋には、「冷蔵庫で保存いただくようお願いいたします」と書いてあ
ります。「冷蔵庫で保存してもらうようお願いいたします」では、変ですね。
「冷蔵庫で保存してください」で十分だと思います。

でもまあ、謙譲語が存在すること自体がおかしいような気がします。人は平等
なはずですが。