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埋蔵文化財があっても契約有効:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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◆―――――――――――― 今回のテーマ ――――――――――――――◆
先人の遺産である埋蔵文化財。こんな土地を買ってしまったら。
◎事件の概要
Xは、1980年に分譲する目的で土地を購入し、その際に手付金を支払いま
した。
ところが、その契約の後でその土地が埋蔵文化財包蔵地であることがわかりま
した。そこで、Xは契約を解除して手付金の返還を求めました。
(京都地判59.2.29)
◎判決
埋蔵文化財包蔵地であっても目的を達するには十分であり、契約の解除と手付
金の返還請求を退けました。
◎解説
対象地は「鳥羽離宮跡」と「鳥羽遺跡」に存する土地でした。
Xは契約の後にこの事実を知りましたが、直ちに契約の解除をしようとはしま
せんでした。また、対象地を担保として銀行等の金融機関に対して融資を申し
込んでいました。
裁判所は、「本件土地はその後売却され、購入者は市に届出をし、市が試掘調
査を行って埋蔵文化財のないことを確認して建築物が建てられている」ので、
「規制は建物を建てる場合に常に障害となるものではなく、本件売買契約はそ
の目的を達するに十分である」としました。
京都市内には、いたるところに埋蔵文化財包蔵地があります。それゆえ中級程
度の住宅地域とその周辺は埋蔵文化財包蔵地に該当することが多くあります。
京都・奈良・鎌倉等の古都では、条例等によって土地の利用が制限されていま
す。十分な調査を要します。
前記の経過から建物を建築することは可能であり、裁判所は妥当な判断だと思
います。
◎不動産鑑定の見地から
埋蔵文化財包蔵地に該当すると、試掘調査が必要になる場合があります。調査
の結果、埋蔵文化財がありそうだと判断されると、さらに調査が進められます。
建築の可否に大きく影響します。
埋蔵文化財包蔵地の有無は、その自治体の教育委員会事務局の窓口で調査する
ことができます。最近は、ウェブページで地図を公開している自治体も多くあ
ります。
さて、埋蔵文化財包蔵地は、自治体による試掘調査というやや面倒な手続きが
あります。しかし、これは埋蔵文化財包蔵地が住宅地として最適の土壌・土質・
地盤であることを示していることに他なりません。
なぜなら、昔から人が住んでいたから埋蔵文化財があるのであり、住宅地とし
て安全で快適だから人が住んでいたからです。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
雰囲気を「ふいんき」と発音する人が一部にいるそうです。
こういう現象は、昔からあります。秋葉原は「あきはばら」と読みますが、も
とは「あきばはら」だったそうです。確かにこちらのほうが自然です。
新しいは「あたらしい」ですが、もとは「あらたしい」だそうです。確かに、
新たは「あらた」と読みます。「あたらしい」はもとは惜しいという意味です。
「あたら若い命を」という表現があります。
山茶花は「さんざか」だったとか。
言葉は移ろいゆくものですから、いつかは「ふいんき」になるのかも知れませ
ん。
でも、その時には漢字はどうなっているのでしょう。雰は「ふ」とは読めそう
にありませんし、囲を「いん」と読むのは難しいです。
新しい漢字を作るのかなあ。