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新田といっても畑がある:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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◆―――――――――――― 今回のテーマ ――――――――――――――◆
9月23日にお送りしたメルマガ243号「〇〇新田は要注意」で、新田のつ
く地名は水害が起きる恐れがあるので要注意だという内容の記事を書きました。
この記事に対して、ある読者の方から「自宅近くにある新田のつく地名のとこ
ろは台地にあり、水害とは無縁のように思える。その記事の内容は疑問だ」と
いうご意見をいただきました。
実は、その読者の方のご自宅と私の自宅は、川越市にあります。そして、私の
自宅の所在地に隣接する地名にも新田がつきます。私の自宅もその新田地名の
ところも台地にあります。水害の被害があるようには思えません。
この記事は、ある書籍を元に書いたものです。書きながら、本当にこの記述で
いいのだろうかと疑問を持っていました。
しかし、その書籍の内容を否定するような見識は、私にはありません。疑問を
持ちながら書いた次第です。
ご意見を受けて、いろいろ調べてみました。どうやら、その読者の方のご自宅
や私の自宅がある埼玉県南部の武蔵野台地では、新たに開発した農地のことを
新田と呼ぶようです。畑であってもです。
武蔵野台地は関東ローム層に覆われ、また台地であるため水利に乏しいところ
でした。そのため、川越市より南方ではありますが、江戸時代には玉川上水を
分水した野火止(のびどめ)用水が引かれているほどです。
しかし、野火止用水だけで水田を潤すだけの水が得られるわけではありません。
大半の地域は畑作地帯です。
中でも有名なのが、三富(さんとめ)新田です。三富新田は、埼玉県所沢市と
埼玉県入間郡三芳町にわたって所在します。
三富新田では落ち葉堆肥農法が行われています。全ての土地を農地=畑とする
のではなく、残された雑木林から得られる落ち葉を堆肥にして畑作が行われて
います。
2023年7月には、「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が世界食糧農業機関(FA
O)によって、世界農業遺産に認定されました。
私も、三富新田のことは知ってはいましたが、すぐには結びつきませんでした。
前回の記事を訂正するとともに、その読者の方に感謝いたします。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
AIを使うことが一般的になりつつあるようです。私も、仕事で先日AIを使
ってみました。
もちろん、鑑定評価額をAIに出してもらったわけではありませんよ。業務の
一部に取り入れてみたのです。
不動産鑑定評価書には、地域要因の分析としてその不動産が所在する自治体の
状況を記述しなければなりません。
東京都世田谷区にある不動産について評価する際に、世田谷区の位置・地勢等
についてAIを使って記述しようとしました。
通常であれば、世田谷区のウェブページから必要な情報を入手し、それを加工
して記述します。それなりに、手間がかかります。
ところが、AIは速いですね。数秒で答えが得られました。よしよし、これい
けるぞ。
ところが、文章を読んでみるとこんな感じになっていました。平均標高は35
mで、一番高いところは70m、一番低いところは‐2m。
世田谷区は、多摩川沿いのところは低くなっていますが、それ以外はほぼ平坦
です。40mもの高低差などありません。
さらに‐2mって、海抜ゼロメートル地帯ではないですか。そのようなところ
は、東京では江東区など東側にしかありません。
やはりまだまだですね。人間が精査する必要があります。もっとも、完璧な答
えを得られるとしたら、それも怖いことではあります。