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固定資産税の現況課税:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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◆―――――――――――― 今回のテーマ ――――――――――――――◆
今回は、角度を変えて固定資産税の現況課税を取り上げます。
固定資産税の課税客体すなわち課税対象となるのは、土地・家屋・償却資産で
す。土地・家屋は不動産ですから、不動産鑑定士である私にはなじみの深いも
のです。そのため、税理士試験の選択科目でも固定資産税を選びました。
実は、税理士試験で最後に合格したのがこの固定資産税でした。何年も勉強し
て苦労しため、試験に出にくい論点まで勉強しました。しかし、それがその後
の不動産鑑定の業務に非常に役立っています。
さて、固定資産税には現況課税という原則があります。その根拠となっている
のが、地方税法の次の条文です。
(固定資産の実地調査)
第408条 市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町
村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。
なぜこのような規定がもうけられているのでしょうか。
土地を例にしましょう。土地の地目は法務局が管轄する不動産登記簿(登記簿)
に登記されています。
通常は登記簿上の地目(登記地目)と現況の地目(現況地目)とは一致しなけ
ればならないものですが、登記は原則として申請主義であることから、登記地
目と現況地目が一致しない場合があります。
登記地目にかかわらず、固定資産税においては現況地目(課税地目)に基づい
て課税を行います。
なお、この課税地目は、納税通知書に記載または同封されている課税明細書の
課税地目欄で確認することができます。
実地調査をすることのみが定められていますので、その状態が適法であるか否
かは問いません。
例えば、市街化調整区域にある農地に建物を建てるとします。この場合に必要
な手続きは、農地法による農地転用許可・都市計画法による開発許可・建築基
準法による建築確認申請です。これらの手続きによって、農地は宅地に変わり
ます。
しかし、これらの手続きを一切とらずに、建物を建てたとします。違法な宅地
であり、違法な建物です。
しかし、固定資産税では現況によってのみ判断しますから、このような土地で
あっても宅地として評価・課税されることになります。
ではいつ時点の現況でしょうか。それは固定資産税の賦課期日である毎年1月
1日です。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
さて、6日後は固定資産税の不可期日である1月1日です。
正月になったら、空を見上げてみてください。軽飛行機が飛んでいることでし
ょう。
何のためか。航空写真を撮っているのですね。地方税法の規定では年に一回実
地調査をしなければならないことになっていますが、そんなことできっこあり
ません。その代わりとなるのが航空写真です。
ということで、よいお年をお迎えください。